NerdTV 第4回:Brewster Kahle
NerdTV 第4回。
ゲストはBrewster Kahle。Internet Archiveのファウンダーである。
20年のIT業界におけるキャリアの中で、Thinking Machines、WAISプロトコルの開発、サーチエンジンの運営という数々の試みを経て、今は「インターネットのすべてをアーカイブ化する」という事業に取り組んでいる。技術者としての誇り、インターネットがオープンであるべきだという信念、企業や政府など、ネットを囲い込もうとする存在や、コンテンツのオープン化を阻む著作権法への対抗意識 -- 彼の主張には目を見張るものがある。
Internet Archiveの手法と、そのあまりにラディカルな理念を聞けば、少なくない人が心底から驚かされるのではないだろうか。2006/1/2の時点ですでに11回を数えるNerdTVだが、現時点ではもっともインパクトのあるインタビューだと私は確信している。
その核心についていくつか引用しておく。
私たちは、世間に向かって共有したい素材、広い意味でのライブラリに納めたい素材を持っている人たちに、無限のストレージと帯域を永遠に、無償で提供します、という提案をしています。
私は自分の時間と財産、これはSteve CaseやJeff Bezosのおかげですが、これを使って、来るべき未来を私たちが本当に生きていきたいと思えるものにするための活動をしています。一日が終わって、「ああ、俺たちは本と同じくらいいいものを作れたよ」と言って、私たち自身がちゃんと誇りに思えるようなものです。私たちは、すべての情報を利用できるようにする、というアレクサンドリア図書館の発想を取り入れました。彼らはエジプトのアレクサンドリアでそれを設立しただけでなく --(中略)-- 500年間それを続けました。「火事で焼けちゃったんでしょ?」という人もいますが、それでも500年間運営され続けたわけです。500年分の素晴らしい資料を提供し続けたんです。その一方で、アレクサンドリア図書館を世界中のどんな人でも利用できるようにする、これは毎朝目が覚めたらベッドから飛び出して仕事に行くだけの値打ちがある目標だと思いますよ。
凡人には目がくらむほどデカい目標だ。
^ TOPThe Yakumo Projectへの賛同
わりと放置プレイな本blogです。wikiでの翻訳もさっぱり進みませんが、速攻で書きます。
NerdTVを紹介してくれた福森さんの日記より:The Yakumo Project : 日本語ドキュメントを英語圏へ
だが日本語でのみ流通している情報を、日本語圏以外の人に伝えるということも、そろそろ本気で考えなければいけないのかも知れない。
心より同意するのであります。日本語>英語という方向づけが英語>日本語よりはるかに少ない点、従来から気になっていました。
まだ書きかけということなので、今後どう展開していくのかはわかりませんが、話がまとまったらcontribute……と思ったけど、ネタがソフトウェア工学の最先端の論文とかでは到底歯が立ちませんですよ。がくり。
もっとライトな話も扱う、ということならcontributeできるかも。
NerdTV 第3回:Bill Joy
NerdTV 第3回。
ゲストはBill Joy。Sun Microsystemsの共同創業者の一人として紹介されているけど、すでにSunはやめてインキュベーターをやっている。
BSD/NFS/csh/vi/Java/SPARCと、Unix業界にとっては神クラスの人間だが、インタビューの内容はほとんどそういうテクニカルな話には触れておらず、もっぱらインキュベーターの側からのベンチャー企業とのつきあい方とか、注目しているテクノロジー(エンジニアリング、バイオ、ナノテク等)が中心。ちょっと期待はずれと思った人もいるかもな。
後半になると、アメリカの教育の現状や、消費社会への批判とか、環境問題への意識とか。技術の粋を集めて、高効率で環境負荷の低いヨットを開発しているらしく、その話が結構長い。
最後の最後でオープンソースの話がちょっとだけある。
「私はUnixを作っていて、ほとんどのプログラミングは一人でやっていた。今ではLinuxとLInuxのコミュニティがあるが、当時はそんなに人もコンピュータも多くなかったから、結構 -- もちろんとても楽しかったけど、ちょっと寂しくもあった。今あるようなコミュニティにいられたら、たぶん昔よりもっと楽しいだろうね」
この一節にちょっと心打たれました。
^ TOPNerdTV 第2回:Max Levchin
NerdTV 第2回。ゲストはMax Levchin。Paypal(メールアドレスによるオンライン決済システム)の共同創業者の一人として紹介されているけど、すでにPaypalはやめて別の会社を立ち上げている。
16歳でウクライナから渡米して、あと(インタビュー当日から)2週間で30の誕生日を迎える、という若さ。それでPaypalを含め5つの会社を立ち上げ、さらに現在進行形で立ち上げ中。このパワーはいったいどこから。
話の内容は、徹夜が大好きなこと、Paypalのこと、Paypalのあとのこと、お金のこと、一緒に働く人のこと、「波をつかむ」こと、詐欺のこと、この業界で生き残ること、インキュベーターのこと、人望のこと、移民としてアメリカに来ること、競争に勝つこと。etc。
社長業の神髄をかいま見た思いです。なんつーかもうため息しか出ませんわ。
しゃべり方が非常に天才型というか、エッジの立った鋭い声に聞こえる。前回のAndy Hertzfeldが結構大仰な話し方だったのに比べると対照的ですな。
^ TOPNerdTVについて
アメリカの公共放送PBSで、Nerd TVというインターネット放送が始まりました。
コンピュータ業界の著名人に1時間のインタビューを行うという企画なのですが、いろいろ特筆すべき点があります。
- ムービーファイルはオンラインで公開する。mp4なのでWindowsではコーデックが必要だけど、普通はQuickTimeかiTunesを入れれば問題ない。
- 音声ファイルもmp3, aac, oggで公開する。
- スクリプト(文字データ)まで公開する。
- 「クリエイティブコモンズ」ライセンスの採用:公開された内容や媒体は、原典を明示すれば非営利に限り好きなように再利用してもよい。
この太っ腹ぶりはもう諸手をあげて歓迎です。NHKもこのくらいやってほしいもんですな。
おかげでmp3をダウンロードして携帯プレイヤーに入れて出勤途中に聞く、ということもできるし。podcast初体験ですよ。
このblogとしてはCCライセンスの採用=何の断りもなく翻訳ができる、ということで非常にエキサイトしているわけです。というか早速第1回を全文訳してしまいました。Wikiの方に上げています。
このために会社の休み時間に訳すとか、ノートを持ち歩いて会社帰りに普段寄らない喫茶店に飛び込むとか、夕食をいつもの中華料理屋じゃなくてMacで食べるとか、かなり無理をしましたが。さすがに1時間分のテキストは長いです。50KB近い。修辞的な言い回しが少ないのと、結構適当な言い換えを多用したりしたので、難しくはないけどひたすら量が多い。これに個人で追いつくのは大変です。
Nerdy Bit/Juicy Bitという抜粋があるので、短いですがこれを拾っていくことはできそうです。
しかしNerdTVとは思い切ったネーミングですな。日本で言えば「オタクテレビ」みたいなもので。まあNerdのニュアンスもなかなかわかりにくいんですが。Geekとの違いとか。
Nerdはどっちかというとガリ勉とかコンピュータとか理系的なニュアンスがあるけど、オタクというとアニメまんがゲームの3段コンボですし。Nerdと同じ響きを日本語で再現するのは難しいかもしれません。
とりあえず第1回のご紹介を。
Andy Hertzfeld:Macintoshの生みの親の一人と言うべき人。初代MacのOSやシステムプログラムを書いた。Appleに入る前の話、Apple IIへの思い入れ、入った当時の話、そのAppleを離れて会社を作った話。会社がつぶれた話。オープンソースへの思い入れ。コンピュータ業界の構造問題への懸念。プログラマの身の処し方についての見解。そしてすでに話題になっていますが、Knuth先生とMacPaintソースコードの話。
自分はMacへの思い入れは特にないので、その辺についてはまあアレなのですが。本当の凄腕プログラマとはこういう考えの持ち主なのか、と思って聞くと何かと身の引き締まる思いでありました。「僕ははものすごく仕事が早いんだ」とかさらっと言えてしまうところがまあなんというか。自分仕事遅くてすいません、みたいな。