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CCライセンスに基づく但し書き

本文書は以下の文書を原典として翻訳したものです。
http://www.pbs.org/cringely/nerdtv/transcripts/002.html

原典の著作者はRobert X. Cringely and PBSです。

原典はCreative Commons 2.5(BY-NC-SA) Licenseによって公開されています。
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本文書のライセンスは原典と同様、Creative Commons 2.5(BY-NC-SA)です。

本文書の著者はhirです。


本文書に関する但し書き

  • 暫定ですが、全編完了したので公開します。
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    • 今回はわからない言い回しが多くなっています。ご助力歓迎です。
  • ご意見や修正ログはコメント欄まで。

NerdTV #2: PayPal 共同創業者 Max Levchin (2005/6/30)


Bob: 徹夜明けですって?

Max Levchin: ですね。

Bob: どうかしたんですか?

Max Levchin: 楽しんでるんです。楽しんでるときは徹夜する。途中で止めたくないんです。

Bob: 本当ですか? いや、これは--

Max Levchin: 本当ですって。

Bob: これは -- 楽しいかどうか、でそういうナード的な労働価値観が生まれるんですか?

Max Levchin: そう思ってます。

Bob: でもお金持ちになったり、世界を変えたりしたいわけではないんですよね? --

Max Levchin: それはみんな楽しむことについてくるオマケです。

Bob: 楽しむことのオマケですか。

Max Levchin: まあ、自分が世界を変えているとか、面白いことを起こそうとしているとか、何かを開発しているとか、何かとてもクールなものを作っているとか、そういう考えからエネルギーとか楽しいという気持ちを得られると思うんですよ。その終わりには自分に金銭的な利益が入ってくることもあるでしょう。そういうものがあるから眠らずにすむだけのアドレナリンが出続けるんです。ただ、事務所には他にも同じことをしていて、同じ問題やアイディアに取り組んでいる人がいて、お互いのエネルギーを食い合っているというのもありますね。

Bob: じゃあ今は、わかりませんけど、今は朝の10時かそこらですよ。この24時間、どんな感じでしたか?

Max Levchin: 昨日の朝10時にここに着きました。会社周りのことで何人かの弁護士と話をした。最新のバグ一覧に目を通す。社員の何人かに直さないといけないバグを指示する。デザイナーに一部の機能について考えを聞く。その後で、自分が書きたいコードや書かないといけないコードをピックアップする。それを書いて、デバッグして、サーバにストレステストをかけてクライアント側のユーザー体験を一通り見ておく。

最後に、再現できないやっかいなバグに引っかかってしまって、再現させるためにあれこれやっていて徹夜する羽目になったと。その間にサーバの負荷テストをやったり、負荷テスト用のコードを書いたり、いくつかUIのバグを直したり、コーヒーを山ほど飲んだり。これが -- これはあっという間です。本当に。合間には何度か犬の散歩に出ました。あとガールフレンドに1時間ほど合いました。なんでかというと -- ガールフレンドとケフィアを飲んだんです。知ってますか? ケフィア。

Bob: たぶん。

Max Levchin: すっぱい乳飲料です。

Bob: はいはい。

Max Levchin: とてもおいしいですよ。ロシアのごちそうです。で、それが夕食でした。

Bob: それが夕食ですか?

Max Levchin: そのあと運動します。ジムに行って、30分で1200カロリーを燃やしました。これは自慢できるところです。止めたいときはいつでも止めてくださいね。好きにしゃべり続けますから。

Bob: ああ、わかりました。

Max Levchin: だらだら話し続けるのは好きなんで。それで --

Bob: なにかを達成するために一晩中起き続ける理由が、私にはわかっていないような気がします。今週3回徹夜しているんですよね。しかもそのうち一回はたった今終わった。

Max Levchin: そう。そのとおりです。徹夜で仕事をするという価値観には特別なところがあると思ってます。賛成の人もいるし、そうでない人もいる。間違いなく人によって違います。特にエンジニアの夜の生活には、創造力やコード書きのチャクラを開く何かが絶対にありますね。ちょっと頭がぼやけるけど、ちょっとだけ創造的になるかもしれない。疲れるけど、気合いと仲間意識があるから遅い時間にも起きていられる。他の人に「それ間違ってるだろ」って言われても、うるさいあっち行けと言い返すのをためらわなくなるから、仕事がよく進むし、やりとりももっと面白くなる。

でも徹夜をすることで得られる大きなメリットというのは、少なくともそれ以前に7時間か8時間仕事をしていて、後もう少しで何かを生み出せると言うときに、さらに8時間突っ走れるところだと思います。そこで休んで寝てしまってアイディアがなくなってしまう代わりに、数時間前の発見に集中して、あとはとにかく熱中してそれを突き詰める。

不利な点はもちろんあります。疲れれば疲れるほど実質的なIQはおそらく下がります。だからもっと注意するようにしないといけません。でも十分に経験があれば、相互にコードレビューをして、自分のやったことを自分で確認して、みんなにもちゃんと承認してもらうようにするでしょう。

でも大部分は単に一部のエンジニアが持ってる一種の価値観でしかないと思います。大学の頃を思い出すんですが -- あれは締め切りがありますからね。結構たいへんなことです。徹夜って言うのは大体締め切りがあるからやるんです。で、大学では -- 計算機科学を専攻だったらマシンの調子が悪かったり、数学専攻だったら何かの証明を書かないといけないとか、それで好む好まないにかかわらず、一晩かけてそれを終わらせないといけない。その経験を20年か10年か後に再体験するのは実にクールだと思うんです。それが私たちが徹夜する理由の一部じゃないか、と自分では思っています。でも一度も徹夜をしたことがない、徹夜は嫌いだというエンジニアも知っています。そういう人たちは徹夜がとんでもない時間の無駄だと思っている。

Bob: そういう人もいるんですねえ。知りませんでした。

Max Levchin: 私は知ってはいますが、私自身はそうじゃありませんよ。

Bob: 徹夜するときは、あなたは別の人間になっていますか?

Max Levchin: 徹夜をたくさんするから自分が自分であるとは思っていません。徹夜というのは自分が自分であることの結果というか、現れというか -- 自分の基礎だと思います。だから基本的に、本当の自分は問題を解決しようとしているエンジニアだと思っています。そして今の時代、そういう問題は必ずしも純粋なコードである必要はない。私は会社を経営していて、エンジニアのチームを運用していて、事業や法的な決断をしているからです。ただエンジニアとしての経験から得られるものの一つには、他の職業で得られるとは限らない、この強烈さがあると思います。

それと -- これはたとえば、ある種の弁護士には実際にあてはまります。他には設計士にも確実にあてはまりますね。何かの問題に取りかかるとき、他の職業よりも集中の度合いが高い職業というのがあるんです。問題に取り組むときにとにかく何もかも消えてなくなっってしまわないといけない。まわりが大惨事にでもならない限りあきらめない。徹夜とか、とにかく長時間働きたいとか、週末に働くとか、休みを取らないとか、そういうのは全部自分を駆り立てるこの熱心さの副作用なんです。それで自分は楽しくなります。楽しくある、というのは重要なんです。

Bob: それはあなたの人付き合いとはうまく折り合いがつくんですか? あなたにはガールフレンドがいますよね。彼女はどう思っているんですか?

Max Levchin: よく思っていてくれるようですよ。会社立ち上げの間の自分を彼女は見ていますから。立ち上げの間の自分はつまらなくてひどいやつなんですよ。ただソファーに座って、昔のミスについて泣き言を言ったり、将来の愚にもつかないプランを考えたりしているだけで。それでリラックスし始めて、自分が面白くなくて、気合いも抜けているとか考えるんです。何かに熱心なのはいいことですよ。だから彼女は喜んでると思います。昨日一時間ほど彼女に会って --

Bob: ケフィアを飲んだと。

Max Levchin: ケフィアを飲みましたね。向こうが調子はどうなの? と聞いてきて、私はああ、また徹夜だよ、でもまだ徹夜しないといけない。向こうはへえ、うらやましいな、と。彼女はトレーダーでして。これも猛烈な仕事なんですが。彼女にはその必要とされていることの意味が理解できていると思いますよ。彼女は毎朝5時に起きてマーケットの様子を見に行きます。私たちはサンフランシスコに住んでいますが、彼女はニューヨークで開く市場を見ていないといけない。

私とガールフレンドの関係については、実のところ -- 私が働き続けていて、超やる気まんまんモードである限りは、問題ないと思います。彼女はそういうのが好きだし、私もそれを望んでいると思っている。私の両親のような人たちは、たとえばですが、特に最近立ち上げた会社が大会社に育った後では、そろそろシカゴに戻ってきて自分たちと暮らすとか、少なくとも毎日自分たちに何時間か電話をかけるくらいしてもいい頃じゃないか、と考えるんじゃないかと思います。でも私はやらない。私はものすごく働いているし、電話は週に1回だけ。たまには電話をさぼることもあります。両親もあまり満足はしていないでしょうね。でもまだ両親は愛しています。向こうも愛してくれていると思います。

Bob: きっとそうだと思いますよ。ところで前の会社が成功したとおっしゃった。これはPayPalですね。

Max Levchin: そうです。

Bob: さて、あなたとPeter Thielがこれを始めたとき、あなたの目標は何でしたか、お金持ちになろうとか、売却してソファーでつぶれよう(*sell out so I can be depressed on the couch 訳不詳)とか、でなければ --

Max Levchin: いやいや。

Bob: 何ですか?

Max Levchin: それは -- 同じ普段通りの目標だと思いますよ。私たちの周りで起こっていることがある。これは波です。これを捕まえないといけない。それは決して、大もうけしようという具体的なものじゃない。少なくとも私にとっては違います。多くの人はたいがい、楽しむためにやるんだと思います。売却した後であってもです。しばらくすると、お金は問題じゃなくなるんでしょう。

ただ、お金は尺度としてはとてもいい。お金が大事なのは、それを集めて、抱え込んだまま死ななきゃいけないからではないんです。世界を見回して、自分がどれだけうまくやってこられたかと自分に問う。そして誰が -- もっとよくなるためには誰に勝たなくてはいけないか -- 自分の持っているドルの額、自分や他人のために稼いだドルの額を何らかの尺度として使うのは簡単です。どれだけ雇用を増やしたとか、何人友達を大学から中退させたとか、こういう尺度をいつも自分に対して使っているわけですよ。

実際にあった目標は -- 実際にはPayPalとは大きく違っていましたが、当初の考えは本当は -- ハンドヘルドデバイスが開発されつつあって、これは恐ろしくセキュアでない代物でした。コンピューティングの新しい波に突っ込むと、人は利便性ばかり考えて、セキュリティのことをあまり考えないからです。もちろんそれは正しいことなんですが。でも誰かが割り込んで、みんなに「ちょっと待て、このデバイスもこのデータも、みんな保護されてないけど、どうするつもり?」と突っ込まないといけない。それで私の計画は、ソファーの後ろから飛び出してきて、「はっはっは、あなたが必要なセキュリティソリューション、私がすべて用意済みだ!」とやることでした。

その当時は、私は単にハンドヘルドデバイスにセキュリティソリューションを提供するだけのつもりでした。と思ったけど、ハンドヘルドデバイスはそんなに普及しなかった。みんながおしりのポケットにWindows CEデバイスを入れているような時代ではないですよね。だから何度か計画を変えないといけなかった。そのうちに、「インターネット越しの取引で、みんながお金を送金する手助けをしよう」というところに落ち着きました。

そのときから、それが実際にPeterが言ったようにドルの民主化、取引の民主化になりました。これはとてもすばらしい目標です。あなたが小さな商業主だとか、インターネット越しに何かの支払いをしたいとき、これは実に不便です。特にあなたがドルを持つことも禁じられているようなどこか遠くの国にいたとしたら、お金をマットレスに詰め込まないといけない。

で、もろもろの不便をインターネットに持ち込んでビットに変換する仕事は、複雑だけど楽しい仕事になりました。これは確かにとてもよい、高度で、哲学的な素地がある。何度も何度もやって、毎朝起きて仕事に行きたくなる。これは永遠に変化し続ける目標でしたね。

Bob: お金が得点をつけるための一つの手段だということでしたが、そうすると勝つべき相手がいますよね。

Max Levchin: ある意味では。

Bob: 誰に勝たないといけませんか。

Max Levchin: 自分自身には確実に勝たないといけませんよね。これは結構重要です。

Bob: それは、次のプロジェクトは前のプロジェクトより成功しないといけない、ということですか?

Max Levchin: そうですね。そうなるといい。いいというのは -- 私が思うに -- 私は必ずしも目標や比較対象を選ぶわけではないんです。あそこにいるあいつ。あいつがたくさんお金を持ってる。自分はもっと稼がなきゃ。そういうことはしません。ではどうなのかというと -- 基本的には会社の時価総額で考えますね -- この会社が成功したと見なされて、その会社を始めた人間を知っていて、そいつが50人の友達を持っているか、社員を50人持っていてそのうち15人が友達で、その人たちがみんな仕事をしてお金を稼いでいる。これは実にすごいことです。

なので、そうですね、私は前の3倍の大きさで、熱心に楽しんで働いてくれる社員や友達の人数も___(*原文記述なし)倍の会社を作らないといけない。もっと詩的な言い方をするなら、そうですね、ここに高校の入学式以来の友人がいます。彼の最初の持ち家をキャッシュで買ってあげたい。でなければ同じくらい高いものを買ってあげたい。これがうまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。それでもお金についての考え方としてはいい方だと思います。なんだか宗教がかったことを言っているような気もしますけど……

Bob: ではそうすると、あなたが思い描く会社の大きさというのは、あなたの友達の人数で決まるということですか?

Max Levchin: そうではないです。

Bob: それに何か係数をかけたものですか?

Max Levchin: それも違います。実際にそれを決めるのはアイディアの大きさと、そのアイディアを売り込める市場の大きさだと思います。私が追い求めているのはそういったものです。多少 -- 宗教めいていなくて、もっとガチガチの資本主義者的な考え方をすると、まあ、このサービスなり商品なりモノの価値が10兆ドルであると言うようなものです。そこから得られるものがあるなら、あるだけ欲しい。で、初めは100万ドルです。これはあまり面白くない。絶対値では大きな数字だけど、しょうもないかけらです。そしてさらに爪を立てて、そこにあるものを欲しいままに持って行く。計るという点について言えば、これはとてもいい考え方かもしれない。

Bob: なんというかですね、数年前に初めてお会いしたときから、あなたが他のエンジニアと違うことは一目でわかりましたよ。あなたはビジネスのことも考えている。あなたは -- これは私の思い違いではないですよね? というか、この建物の中のみんな、同じようにビジネスのことを考えているんですか? それとも --

Max Levchin: 結構考えているのもいるし、あまり考えていないのもいます。これは -- みんながみんな、ビジネスの問題を始終考えている必要は必ずしもない、ということだと思います。ただ、自分が何のために働いているか理解するのはとても自分のためになるでしょう。そしてエンジニアリングの世界ではありがちな落とし穴ですが -- でも、うちのエンジニアたちを批判するわけではありませんが -- 難しいことと価値があることの二項対立というのが確実にあります。多くのエンジニアが難しいことに価値があると勘違いしています。

逆ももちろん真です。この世界で価値があることのほとんどは、成し遂げるのが難しいものです。マイクロソフトやeBayやGoogleのようなことをするのは、達成したり発明したり作ったり等々、とても難しいことです。だからこそ価値がある。だから彼らはたくさんのお金を稼げるし、会社にもあれだけの市場価値があるんです。

しかしとんでもなく難しいことを選んだ場合、たとえば考えるだけで箱を(*原文記述なし)壊すとかですが、それは必ずしも価値がないかもしれない。だからビジネスの問題を考えるエンジニアになるという考え方は、自分が単に難しいだけじゃなくて、実際に価値があることをやっているということをはっきりさせる意識の表れだと思います。

あと大学時代のことを考えると、私はしょっちゅう徹夜をすることがありました。自分のやっていることが難しいことだと思っていたからです。で、「ふう、このMIPSのアセンブリを80サイクル分最適化(*原文記述なし)したぜ、でもこれは将来誰も使うことのない仮想プロセッサの上でしか動かないぜ」という具合で朝を迎える。あのころは、これをやればユーザー変換の係数を10%上げられる、これは本当に価値があるんですが、そういうことを一晩中考えていました。これがビジネスの問題なんです。ここにいる多くの人たちは -- 彼らはそういうことを考えてくれていると思いたい。考えていないなら、彼らにそのことを気づかせます。

Bob: まあ、もし考えていないなら、彼らにはあなたがいますよ。

Max Levchin: そうですね。私は思い出させる役です。それが私の --

Bob: なるほど。さて、さっき波をつかむと言われました。PayPalではあなたは確実に波をつかんでいました。次はあなたが今やっていることについて伺おうと思うのですが、おそらく次に捕まえようとしている波のことを意識しているのではないでしょうか。すでに通り過ぎた波についてはどうでしょうか? たとえば、誰かがこれからもうひとつのPayPalを立ち上げることは可能ですか? それともそのチャンスはもうありませんか?

Max Levchin: なんともいえないですね。Googleは最近smackな話をしていましたが。

Bob: Smackな話というと。

Max Levchin: ただの言い回しです。私はアメリカの生まれではないので、時々意味も知らない言葉をしゃべることがあります。徹夜明けの時は特に。いや、思うに -- 波が終わってしまったかどうか確かめるのは面白いことだし、可能だと思います。今PayPalをもう一つ立ち上げるための細かい手順は、非常に詳細で、昔に比べてずっと理解の深まった手順を用いる必要があります。

私たちがこの話を考え始めた5、6年前、自分たちがやったことは走り回ってビジネスモデルを考えつくとか、ハンドヘルドデバイスをいじり回すとか、「おお、あそこに道があるぞ、あっちに行ってみよう」というレベルのことばかりでした。この手のことの多くは他の人たちの代わりに私たちが始末したわけです。だから今なら、ここからここに行けばPayPalができあがる、というのが見えると思います。

ただ、それでも省略できないようなことはたくさんあります。それは私たちが洗練させていった手順だからです。たとえばその一つは、詐欺について学ぶときの考え方です。詐欺について学ぶときは、それを経験して、たくさんお金を失う。うまくいけば、たとえば私たちよりも、失う額が少なくて済むかもしれない。しかし私たちは相当な額のお金を費やしました。いろいろな詐欺師や泥棒やオンライン上の個人情報業者に、ほとんど有り金全部持って行かれながら、彼らを止める方法を学んでいったんです。

ですからGoogleなりPayPal2.0なり、誰でもいいんですが、やろうとする人はこういう学習プロセスを経ることになるでしょう。これこれこういうことがあると会社の金が失われる、という悪意ある取引のデータを、悪の(* bads 訳不詳)データとして知ることになります。お金を失わないためにはどうすればいいか、という知識はこうして身につけていくんです。これの代わりになるものはありません。その代わりがないという部分が、とても面白いものになるはずです。PayPalは少なくとも1億ドル分の勉強をしていますよ。

(電話のベル音)

Bob: ふむ -- 電話ですね。

Max Levchin: 電話ですね。何で鳴ってるのか --

Bob: 止まった。

Max Levchin: よかった。

Bob: PayPalは泥棒に一億ドル持って行かれたと?

Max Levchin: 全部盗まれたとは思っていませんよ。ただ、いろいろな形で詐欺対策を行った結果、合計で1億ドルくらいは使っているはずだ、ということです。一部は間違いなく悪意ある個人の手に渡ったでしょう。おそらくそのいくらかは、悪意ある個人のグループへと集約されていると思います。また別の一部は対策技術の開発に使われました。一度も使われなかった技術もありましたが -- ただ、まあ、大体こんなものです。でもこれは大金でしょう?

だからGoogleは、たぶん私たちより頭がいいし、博士のスタッフをたくさんたくさん抱えているし、今まで言ったようなこと -- PayPalのこととか、走りながら学んできたこととか -- からも教訓を得て、私たちよりお金をかけずに立ち上げられると思います。ただそれでもたくさんのお金と時間と労力が必要になるでしょう。これがPayPalをもう一つ立ち上げる制約要因の一つでしょう。

Bob: でもその一方で、PayPalは生き残っていますね。

Max Levchin: まあそうですね。私は -- 今日のこの話を始めたとき、正直その辺は考えていませんでした。もしかしたら、PayPalはちょうど売り払い時かもしれません。私はそう思っていないんですが。あのブランド力はとても強力です。ちゃんと、よい会社を作ることができたと思います。eBayとそこそこうまく統合できていることで、eBayは今やPayPalを当然の選択肢と見なしています。実際、少し前はそうでした。今はずっと便利になっています。だからPayPalを攻めるのはかなり難しいでしょう。しかしあきらめたらおしまいです。Googleという新参者が現れるまでは、Altavistaは抜きん出て難攻不落のサーチエンジンでした。でも今となってはなんというか、Yahooが買収した小さな会社の一つにすぎません。

Bob: まだあるんでしたっけ?

Max Levchin: AltaVista.comに行けば、サーチエンジンが見つかりますよ。つい先日、今はどこの持ち物なのか調べるためにサイトを見に行ったんです。世情に疎いのがばれますね。で、どうやらOverture Systemsが持ち主らしい。そして彼らはYahooの配下にある。だから -- しかし現実として、私もあなたも、少なくとも私はAltaVistaがどこに行ってしまったか知らなかった。これは -- いや、AltaVistaはインターネット上で一番太いパイプの上に乗っかっていたわけですよ。それが --

Bob: 飛行船を持っていましたね。

Max Levchin: 彼らは何もかも持っていた。DECの機械が検索クエリを処理していた。DECマシンはAlphaですよ。インターネット上で最強の代物だった。今DECはどうなりましたか。

Bob: なくなりましたね。

Max Levchin: 吸収されました。

Bob: そうでしたね。HPのどこかに隠されている。

Max Levchin: そのとおりです。今はもうAlphaチップはあまり使われていないでしょう。何が言いたいかというと、自分の昼ご飯に気をつけていないと、新参者がやってきて昼ご飯をかっさらってしまうかもしれないよ、ということです。それも、台所に入ったときに自分の飼い犬がやるみたいにです。

Bob: さて、新しい波というのはどうやって選ぶんですか? 探すのはどういったものですか?

Max Levchin: やることといえば、世の中で何が起きているのかを追いかけ続けることですね。現在進行中のトレンドを学んだり、取り入れたりします。たとえ話を続けると、いろいろなトレンドが海の底で起こって、揺れが起きています。人々がテレビを見る時間が減らす代わりにコンピュータを使っている、みたいなものです。今はみんなタダでデジカメを手に入れている。携帯電話に内蔵されているからです。これは実は波ではないんです。ネットワーク帯域が安くなっているとか、そういうことの帰結でしかありません。これが海底を揺るがして、波が始まるわけです。

その波がたとえば、みんながあまりにたくさんの画像を作り続けるので、画像を共有したがっているというニーズだと気づきます。みんな飽きるほどコンピュータとにらめっこしているので、ExcelとWordのために画面をにらみ続ける以外のこともしたいと思っています。みんな昔よりもコンピュータに費やせる時間と帯域に余裕があるので、もっと出来のいいサーチエンジンが必要とされています。そういう波が現れるのを見て「これは、今度の波はすごいぜ」と思うわけです。見ているうちにわかってくるんですが、どこかの会社がこのトレンドを波にまで仕立て上げたりもしているし、時には、自分の頭と運がよければ、「あっ、誰かが波を立てようとしている。あそこに波が生まれそうだ。」とわかるんです。

そうしたらサーフボードを取り出してこぎ始めます。おそらくその時間のほとんどの間、自分が本来行きたい方向とはまったく逆向きに進んでいることに気づくんです。そしたらそのダメージを直して、海底に戻って波探しからやり直しです。でも根気がうまく続けば、自分が波の頂点か、少なくとも波頭のどこかにうまく乗っかることができます。そしてうまいことボードの上で立ち続けようとする。このサーフィンのたとえ話はさんざん繰り返してきましたが、これは気に入ってます。

(*I've beaten the surfing metaphor to death > 訳不詳)

Bob: そうですね。もうほとんど --

Max Levchin: 死ぬほど繰り返してます。

(*Slaughtered it.> 訳不詳)

Bob: 死ぬほどですね。まったく。私が不思議に思うのは、この波というのはある程度の大きさにならないと気づかないものなんでしょうか? もっと言うと、探しているのは1兆ドルの波、10億ドルの波、100万ドルの波、どれですか?

Max Levchin: もちろん大きい波の方が簡単です -- 波がとてつもなく大きければ、会社が成功する可能性はあがると思います。たくさんの人が同じ波に乗ろうとしても、それだけの余裕があるからです。波がずっと狭かったら、ある市場セグメントでナンバーツーの会社が生き残れるかどうかも確実ではありません。たとえば -- まあ大事なことだけにしましょう、私がナンバーツーの会社に実際になりたいとします。私なら常にナンバーワンを目指します。私の場合ならあまり問題にはならないでしょう。少なくとも私には突拍子もない野望があるので、あまり関係がないんです。

Bob: 突拍子もない野望があるんですか。

Max Levchin: いい意味でですよ。

Bob: それは何ですか?

Max Levchin: 世界をよい方向に変えること。その過程で、たくさんの人々を幸福にすること。いや、その質問につり合うようなスケールの大きい答えは用意していませんけどね。

Bob: それはなんというか --

Max Levchin: 徹夜組をたくさん引っ張ってくるんです。

Bob: あなたの何か -- あれですよ、ミスコンテストで質問するような --

Max Levchin: わかりますよ。でもこの質問にありがちなつまらない解答はしたくないんで。友達みんなを金持ちにするとか、そのたぐいの。だからそれなりに大きな答えを持っていないといけないんだけど、私はまだ答えを用意していない。

Bob: わかりました。その件はまた日を改めて伺うとしましょう。

Max Levchin: そうですね。

Bob: さて、あなたはPayPalを離れて新しい仕事を始めた。インキュベーターのようなものですよね。

Max Levchin: はい。

Bob: あなたは -- どういったことをしていますか? 企業のためのアイディアを考え出しているんですか?

Max Levchin: インキュベーターという表現よりは、もう少しはっきりした、もう少し狭い仕事ですね、今は。この私たちが今いる場所が生まれたのは、PayPalの後に私は、当たり前ですが、新しい会社を始めたいと思いました。それが自分の得意分野だと思っていたし、PayPalは数え方によりますが、私が手がけた4つ目か5つ目の会社でしたから、起業というのは間違いなく自分の生業になっていました。

で、今度は新しいやり方で行こうと考えました。頭の切れる友人たちをたくさん集めて、ブレインストーミングをやって、プロトタイプを作って、どんどん組み立てていく、という大変なやり方です。もしうまくいけば、そのままさらに突き進む。だめだったら彼らにじっくり考えてもらって、ブレインストーミングからやり直しです。会社を始めるに当たって、そういう頭を集中的に使う、過酷なアプローチになります。

私がPayPalから学ばなくてはいけなかったことの一つは、エンジニアリングについてのあなたの質問にも関係しますが、技術者というのは、私も技術者ですが、だいたいどんな技術者も考えるという行為に没頭しがちだと言うことです。そうするのが好きでしているのですが、必ずしもビジネスを理解した上でやっているとは限らないんです。ある時点で方向転換しなくてはいけなくなったとき、実際これはとても痛い。あなたの競争相手やマネージャーや、そういう人があなたのところにやってきて、「君がこの半年間書いてきた例のコードね、本当に悪いんだけど全部今すぐ削除してくれ」と言ってくるその瞬間、これは本当に辛いです。エンジニアにとっては胃の痛くなる瞬間です。

そのことに気がついたので、今度は初期段階からこの問題に取り組もうと思いました。私のエンジニア職の友人たちには、この会社について、願わくばいいアイディアについてブレインストーミングを行う、聖域はいっさい設けない、と言います。プロトタイプを作ったけどそれが動かなければ、そこまでです。可能ならばコードは再利用するし、再利用できないなら、それは捨てるか、どこかのバックアップテープに入れてお蔵入りです。これはある意味で役に立っていると思います。少なくともこの時点で、みんな困難であることと価値があることという、私たちが直面している二分法をもう少し意識するからです。彼らはとにかく価値のあることをしないといけないんです。言い換えると、私たちは価値のあることをやるためにここにいるんです。優秀だけど使い道のないコードを書くためにいるのではないんです。

Bob: あなた自身はコードを捨てるはめになったことはありませんか?

Max Levchin: 私たちはかなりコードについては能率が高いほうだと思います。捨てているものはそんなに多くないでしょう。ただ、ある点まで進んだけど、そこで「こりゃどう考えてもおかしい」となったもの、そういうアイディアはたくさん捨てています。私がPayPalでやったことの大部分、私がとても大切なスキルとして持って行ったものは、たぶん世間一般では予測能力と呼ばれるのでしょう。大げさな言い方ですが。

ビジネスの評価のようなことにとってそれがどういう意味を持つのかというと、なにかをとても早く組み上げて、もしかしたらそんなに早くできないかも知れませんが、とにかくそれを世に送り出すか、他の人に見せて何らかのフィードバックをもらいます。そして、自分たちはこの小さな曲線グラフのこの辺にいて、どういう計画でそこから飛び出していくかというと、これこれこういう感じ、とします。それでちょっと推測を立てて、行動を起こして、グラフの頂点を倍にのばしたり、面積を倍に広げたり -- その面積を計算して、ユーザーあたりの金額なりなんなり、好きな指標でかけ算をします。その結果がたとえば2000ドルぽっちだったら、これは大きなビジネスにはならないと分かります。こういうときこそ、エンジニアたちに方向転換すると伝えなくてはいけないんです。

Bob: はい。

Max Levchin: このところ、もうそのようにしてから結構たちますが、今やっていることがどれだけの商売になるか、ということを厳しく問うようにしています。これは本当に大きいのか、割と大きいのか、それとも全然大きくないのか? もし全然大きくないのなら、それは面白いかも知れない、とても難しいのかも知れない、でも結局それほど価値のあることではないんです。だからそれ以上は続けません。

Bob: 死の瞬間になにか儀式は行われるんですか?

Max Levchin: ええ、縁石に40年ものの酒をかけます。いや冗談ですよ。(*We pour a 40 on the curb.>訳不詳)

Bob: 別れの儀式はないと。

Max Levchin: 私は非常に -- こういうことには自分は非常に冷静であると思いたいですね。いや、一般的にはこういうことは楽しい行事にできると思いますよ。「なあ、向こう6ヶ月間これを作り続けても、せいぜい2000ドルしか手に入らないんだ。そういうのはやめようぜ」と言うわけです。それに対して「それがいいな、そうしよう」という人もいます。「なんだそりゃブツブツブツブツ」と言う人もいる。自分ではそれがいいと分かっているけど、その時点ではそれを認めたくないんです。

まあとにかく、そういう仕掛けになってます。というか、その予定でした。最終的な予定は、私がやりたい唯一無二のうまいネタを考えつくことでした。ただその過程で、うまくいきそうで面白い別のアイディアがいくつか浮かび上がってきました。そのアイディアはグラフを使った予測テストに合格しました。これを非常にうまく実行に移すことができて、欲しいだけのものを市場からつかみ取ることができれば、この市場には私たちの会社を維持できるだけの規模があるということになり、それは面白い話になります。

最終的には、小さな会社が3つできました。本音のところでは、他の二つについてじっくり考えるのは難しかったので、まだ3つのままです。いつかはもっと増えると思いますが、今現在は3つだけです。もう半ダースはあったはずです。こっちはしばらく生きていて作業もしていたんですが、いくつかは完全に忘却の彼方に消えました。残りは棚上げになったり、優先度が下がったりしています。実質的には3つということです。

そういう意味で言うと、私はインキューベーターではありません。毎朝起きたら「他に何かすることはあるか?」と考えるような仕事ではないです。実際には、自分は今やっていることを十分ちゃんとできているか、例の予測曲線を見直すときではないか、ことわざに出てくる帽子(*proverbial cap>訳不詳)を今のテナントの頭にはめるべきか、そういう類のことを考えています。

Bob: さて、こうした資金はご自分で出資しているんですか?

Max Levchin: 実際には、資金はPeterと私の両方から出ています。

Bob: PayPalの共同出資者とあなたがどちらもお金を出したと。

Max Levchin: そうです。

Bob: 今後ほかの資本が必要になることはありますか? ベンチャーキャピタルの支援を仰ぐことはありますか? それとも --

Max Levchin: ええ、そう思います。

Bob: そうですか。

Max Levchin: これは実際にはとても -- ベンチャーキャピタルの世界に幻滅しているように見える人は、特にエンジニアにはたくさんいます。私は自分の株をベンチャーキャピタルに一株あたりとにかく安い価格で分けてあげたい、という強烈な欲求や願望を抱いているわけではありませんし -- それは当たり前ですが -- 逆に彼らに敵意を持っているわけでもありません。彼らはとても重要な役割を担っていると思います。つまり、何の証明もされていないアイディアと、何らかの実績があるか、さもなければ全く実績のない人たちについて絶大なリスクを負うということです。この部屋にいる人の何人かがそうです。でもそれが彼らの生きる目的なんです。

Bob: まあ、私とあなたの間で言えば、私には何の実績もありませんから、あなた以外にはいないですね。

Max Levchin: いや、そうではなく -- あなたにはあなたなりの実績がありますよ。あなたの記事は拝見してますよ。

Bob: ああ、あれは -- そうかも知れませんが、でもねえ --

Max Levchin: いや、言いたかったのは、この小さな会議室の外にいる何人か、ということですよ。ただ -- そういう理由で、ベンチャーキャピタルは実際には、私たちみんながその一部であるシリコンバレーという機械にとって、非常に重要な歯車であると思っているんです。

Bob: ただ私には、ベンチャーキャピタルに相談するのを先送りにすれば、その分あなたは会社への影響力を維持できると思えますが。

Max Levchin: それは多くの場合その通りです。ただ、そこまで線形的な話ではありません。株価と時間の関係を表す曲線のようなものがあります。あるケースでは、まだベンチャーキャピタルにお金を借りに行くのは早すぎるかも知れない。別のケースでは遅すぎるかも知れない。少なくとも彼らが株式の対価として払ってくれる金額が、です。こういう支払いは実際に会社が数ヶ月前よりも衰えた時に来ることもあるんです。

ここで、実際に出した結果で資金を調達するか、自分のストーリーで調達するか、という対比があります。もしストーリーで資金を得たとしたら、そのストーリーの説得力がありすぎて、ベンチャーキャピタルが株あたりの金額を奮発してくれることもあります。で、半年後に「この前の話ですが、残念ながら考えていたほどうまくいきませんでした。でも今すぐお金がいるんです」という羽目になったとします。そうなったら株価は暴落です。

ただそれでも、私が自分の生まれたての小さなアイディアについてベンチャーキャピタルの支援を受けたいと思う理由はある意味自分本位なもので、またある意味では自分自身と会社そのものにとって有効なものです。本質的には、それは外部からの監督です。今この時点で、私はこのSOMA(*South of Market Area サンフランシスコの一地区 近年再開発が進んでいる)のレンガ造りの天井がとても高い事務所にいます。99年頭のバブルの時期を思い出させますね。私は自炊をしていて(*cook in my own soup>訳不詳)、自分たちの思いついたアイディアに取り組んでいるみんなの輝くような表情を目の当たりにしつつ、私は隣でクール・エイドを飲んでいるだけかも知れないわけです。

もしかするとこれはとんでもなくダメなアイディアかも知れないし、私がいま売った未来予測のなんとかもみんなほら話かも知れません。だから、この手の出来事を全部体験してきた人が飛び出してきて、「いい感じだなキミ、500万ドルやるからやってみたまえ」と言ったとしましょう。私は少なくともまた一人だませたと思うわけです。そしてこういう人はだまされないのが仕事のはずですから、これはよい兆候です。つまり彼が出てきたことで、私の方針は間違っていない、よいことをやっていると評価してもらえたわけです。

逆の意味では、つまり自分と会社にとっての利点ですが、大人による監督を受けられるということです。エンジニアは間違いなくこれを嫌いますし、私もまったく同じ気持ちです。しかしこれが実際にはとても役に立つかも知れません。それに起業家やその周りの投資家にはある種のとても複雑な力学が働きます。時には非常にポジティブですが、ある時は非常にネガティブに働きます。

多くの人がそのどちらについても私に語ってくれました。PayPalにいた頃には自分自身も役員として面白い経験をしました。でも結局は、自分の仲間ではない人を役員会に入れておくと絶大なメリットが得られると思います。彼らは自分のお金を守るためにそこにいるんです。彼らが部屋に入ったとき、頭の中にある最初で最大の質問は、「私はお前たちに500万ドルやったが、お前たちは私に何をしてくれるんだ?」ですよ。

厳しい言葉ですね。でもこれはあなたのためになります。彼らがくれた優先株は、あなたの普通株の鏡写しだからです。あなたが彼らの株の価値を最大化することができれば、自分自身の株の価値も高まることになります。自分の会社や友達にも同じことをしているんです。だから外部からの監督、大人による監督があって、あなたがビジネスにとって悪影響があるようなことをしようとするたびに頭を殴りつけてくれるというのは非常に健全なことです。やがてある意味、その監督にだんだんなれてきて、このおかげでうまく行くようになるか、だめになるか、いずれにしてもそこから何らかの教訓は得られるでしょう。

Bob: さて。大人の監督という話が出ましたが、あなたはあと2週間ほどで30歳の誕生日を迎えますね。あなたは5つの会社を立ち上げましたが、今が5つめでしたっけ、さもなければ --

Max Levchin: もう忘れてしまいました。

Bob: ヒドラの頭みたいですね。

Max Levchin: そうですね。

Bob: あなたがここでやっていることですよ。

Max Levchin: まったくです。

Bob: そしてそれなりに成功した。お金も手に入れた。もうすぐあなたも30歳です。40歳になってもこの仕事を続けていると思いますか? 50歳になったら?

Max Levchin: 確たることは何も言えませんね。おそらく。この仕事とは限らないでしょう。この、同時にいくつものことをやらせてくれ、というコンセプトは最初はすばらしいアイディアに見えました。これなら一度に一ダースのことでもやれるぞ、と思いました。大学の時みたいに、ものすごく楽しいことになったでしょう。でも今では一度に三つやるだけでも考えることが多すぎると感じるようになりました。40になるころには、手がける会社は一つだけになっているかも知れません。あるいは自分がそのアイディアについて手助けをした会社に投資するようなことをしているかも知れません。あるいはエンジニアリングとか。その両方かも知れない。ただまあ、自分が床屋を開くとか、そういう仕事に就くのは想像できないですね。

髪を切る件 - Nerdy Bit

Bob: その髪型で床屋ですか?

Max Levchin: これは自分で切ったわけじゃありませんから。ただ発見したことがあってですね --

Bob: Flowbee(*掃除機を接続して使う、家庭用の散髪器具)は持ってないんですか?

Max Levchin: 実は買おうかと思ってます。だからこの髪型は実に都合がいいんですよ。これは -- 簡単に言うと、ヘアスタイリストに番号を言う。担当者はどの方向にも同じくらいに、その番号に対応するところまで髪を切る。これならいっさい対話が発生しない。あなたが選んだ番号のところまで髪の毛が切られていくのを、ただ座って待っているだけでいい。これについては実験をして -- 番号を変えたときの私のガールフレンドの表情を毎回記録しました。で、実験の結果2番がドンピシャであると判断しました。そんなわけで私が床屋に入ったら、椅子に座って全部2番のところまで切ってくれと頼むんです。7分半後には床屋を出られる。料金はせいぜい12ドル。これには工学的アプローチが入っている。とても注意深く --

Bob: でも別の恋人ができたらやりなおしじゃないですか。

Max Levchin: そういえばそうですね。そのことは考えてなかった。でもおそらく同じプロセスを繰り返すと思いますよ。番号は限られているし。さて。

Bob: まあそうですね。尊敬している人はいますか?

Max Levchin: あなたを尊敬します。

Bob: それはまた --

Max Levchin: 本当ですよ。

Bob: なぜです? 自分の母親にだって尊敬されてないんですから。というか、尊敬する理由があるんですか?

Max Levchin: まずは -- いや。

Bob: それは -- いや、これはインターネット放送だから「今のは冗談」って言えるということですか。

Max Levchin: 違いますよ。あなたは尊敬してます。あなたはいい物書きですよ。あなたはたいていの場合、正しいことを言っていると思う。世の中にはそういう評価をするだけの頭の良さとか、少なくとも機敏さが必ずしも足りていない人がいるということですよ。

Bob: ああ。

Max Levchin: それは尊敬に値します。

Bob: ありがたいことです。では私以外には、どんな人を尊敬していますか?

Max Levchin: いろんな人がいます。世の中にはたくさんの、本当にクールな人がいると思っています。企業家は一般的に尊敬します。企業家的である人は、これが賢明で正しいことだと思ったことに向かって突き進んで、とにかくそれに挑んで結果を見極めようとします。そういう人たちは尊敬に値します。私と一緒に働いてくれる人たちもとても尊敬します。彼らが私と一緒に徹夜で仕事をしてくれることをいとわない、というのは本当にうれしいことです。

Bob: その人たちはあなたと一緒だから働くんでしょうか、それともアイディアに惹かれたんでしょうか?

Max Levchin: 両方だと思いたいですね。本音ではアイディアの方が大きいといいんですが。私はいつでもPayPalにいたころの常識はずれな出来事の数々について、自分たちがとんでもない幸運に巡り会ったとか、とても馬鹿なことをやったとか、会社を失いかねないようなことをしたとか、一つ二つ、いやいくらでも、そういう話を突然始めることができますが、だからといって「Maxには金儲けの才能がある」みたいな考えが彼らにあるとはまったく思いません。

で、私が恐ろしい勢いで失敗することは考えにくい、というドキュメント付きの証拠は山ほどあります。PayPal以前の多くの会社でも失敗しなかったのと同じです。最初の3つの会社では、クレジットの信用が崩壊したのと、私個人にマイナス7000ドルの請求書が届いたのを除けば、私の成功率は単調増加しているわけです。それに私は_____(*原文記述なし)のようには生まれついていないというか、ここは何かそれっぽい言い回しを補ってください。で、まあ、彼らはアイディアが気に入ったからこの仕事をしていると思うわけです。そうあるべきなんですよ。

Bob: ある人が好きだからというだけで、その人を雇いますか?

Max Levchin: 普通はそれだけでは不十分です。でも多くの場合、私はその人と働きたいと思うから人を好きになるんです。だから因果関係が逆かも知れません。でもたいてい、私は「あー、この人を自分のアイディアや自分の会社のどれかに引き込めたら、もう最高に幸せだ!」と考えながら人と話していますね。

Peterの時はほとんどこの話のままでした。つまりPayPal全体の創業物語は、私がたまたまこの男に会ったことがきっかけです。彼は講義をしていて、私はその講義を聴きに行って、それは無料の講義でした。その最後に私は、うわあ、となってしまって。自分が財界で一山当てるなら、こいつと一緒にやるしかない、こいつは切れる男だと。基本的に頭のいい人は好きです。その人が本当に頭がよくて、なんらかの応用ビジネスをやっているとしたら、私はよく「あなたは好きだ、あなたと働きたい」と思うんです。

尊敬する人の名前の一覧は用意してませんでした。

Bob: いやいや、それは結構です。全然。あなたはウクライナの出身ですね。

Max Levchin: ですね。

Bob: そしてこの国には、ええと、16歳の時に来たと?

Max Levchin: はい。

Bob: では -- ウクライナから渡米したということについて、少し聞かせてください。特に技術的な面で。ウクライナはいいところでしたか? 何か準備に大変な手間をかけたんでしょうか? ウクライナ出身だったおかげで、他の人より数学がよくできた、ということはありましたか?

Max Levchin: 自分が何々のおかげで他人より有利だった、みたいなことを言うつもりはもちろんないんですが。こちらに来る前は、自分ではすばらしい学校教育を受けられたと思いたいです。合間にはシカゴで2年間公立高校に通いました。私の数学の学力は必ずしも伸びませんでしたが、社会と折り合うためのいい訓練になりました。

アメリカに来る前、私はキエフにある、なんというか、出来のいい子供のための学校に行っていました。とても楽しい日々でした。実はこの学校は大学の専攻のように、自分で自分の目標を選ばせる学校でした。そのためにいくつかの科目を選択することになるわけです。私は計算機科学と物理を選択しました。私の家族は一家そろって物理学者だったので、当時はそれが数学よりも面白いと思っていました。自分の周りには3世代にわたる物理学者たちがいるわけです。これはもうすべて -- 最初から決まっていたようなものです。ただ年月が経って、自分は物理よりも数学をやりたい、この実験によって観測しないといけないという価値観はきつすぎる、これはついて行けないかも知れない、と気づきました。

この学校に通っているうちに、数学については同じ年齢の平均的な子供よりもずっとたくさん勉強しました。おかげでアメリカに来たときは学校の他の生徒よりも数年分進んでいたので、かなり楽をすることができました。ただ英語は正直言ってダメだったので、標準テストを受けてみると英語の点と数学の点が非常に不釣り合いでした。私の最初の標準テストの結果は、こいつは文盲だが数学はできる奴だ、という感じでした。

Bob: 頭の悪い大科学者のように見えたんでしょうね。はいはい。

Max Levchin: まったくです。で、私は本当に -- 問題のいくつかは理解できませんでした。ダメです。アメリカに来る前に英語は相当勉強していましたよ。だからそれなりに準備はできていたはずでした。ただ私はとても遅かったんです。意味のわからない単語が混じった段落を読んでその内容を説明する、という制限時間30分の文章読解はとても難しかった。やがて上達していったと思いますが。

ウクライナ出身であることは -- シリコンバレーの中では、それほど意味を持たないと思います。みんないろんなところから来ていますから。HPに一生を捧げた人でもなければ、シリコンバレー生まれの人なんて一人もいません。私はたいてい、他人に対して自分はロシア人だと言います。オレンジ革命の時代になるまで、ウクライナがどこにあるのか誰も知らない、アフリカか南米か、どこかそこらへんにある国だろうとしか思っていなかったからです。なので基本的に自分はロシア人だと言っていますが、これは厳密には間違ってます。ロシア人とウクライナ人は全く違います。少なくとも言葉が違います。実は家では私はロシア語を話すんですが。両親とは、ですけど。その意味では私自身がごっちゃになっているようなものですね。

Bob: PayPalをやっていたとき、詐欺師の中にロシア人はいませんでしたか?

Max Levchin: 私たちに攻撃を仕掛けていた人の中に、ということですか。

Bob: ロシアから攻撃してきた人、ですね。

Max Levchin: そうですね、結局彼らの出所がロシアなのかウクライナなのか、最後まで突き止めることはできませんでした。私みたいに、彼らは東欧人という一種の漠然とした存在でした。ただまあ、実のところ、金融業界、インターネット金融業界における詐欺行為の経済的な原因は、まさにこの巨大な不均衡だと思います。東ヨーロッパに住む人々の多くはとても貧しいです。少なくとも貧困の度合い、あるいは低級階層と高級階層の不均衡はこの国よりもはるかにひどいものです。

この国の人々は、(a) 法の執行を恐れるし、(b) こういう東ヨーロッパの子供がコンピュータを使ってやれるようなことができるなら、とてもよい給料の仕事に就くことができるでしょう。対して東ヨーロッパでは、本当に頭がいいのに、仕事に就けない人がたくさんいます。こうしたことはみんないい方向に進んでいると思いますが、特に90年代の中頃か終わり頃、私たちが仕事をしていた頃でも、まだ苦しんでいる国はありました。わかりませんが、スロベニアとか -- これはたまたま今思いついただけですが。ウクライナやロシアでは、大変でした。

それに、この国の人の多くは考えつきもしないようなことをコンピュータを使ってやってのける、本当に賢い子供がたくさんいました。そして彼らは犯罪の道を選ぶんです。それはただ自分が、あるいは家族か何かが食いつなぐための手段にすぎません。だから、たしかにたくさんの -- インターネットからの詐欺攻撃の数は偏っていて、多くはいまだに東ヨーロッパから行われていると思います。それはまさに経済的理由によるものです -- それと潜在的な傾向として、無償教育という伝統もあると思います。

80年代と90年代初期のソビエト支配の時代に無償で教育を受けた人々の多くは、並はずれた工学の学位と技能を持っています。お金を払わなくて済んだのだからいいことなんですが、共産主義のシステムが崩壊してしまうと、それはビジネスとか、下手をすると職探しとか、職に落ち着くということに対してさえ、あまり適切な訓練にならないんです。そういうものは地元のカザフスタンとか、そういうところでは受けられないものだからかもしれません。

それでも、彼らは頭の中で計算したり、コードが書けたり -- 自分たちがコードを書けるというレベルとは比較にならなくて、紙にアセンブリ言語でコードを書いて一つのバグも出さないとか、そういう驚くべきことができるという、それだけで大変な能力を持っています。彼らは、じゃあ自分には何ができるだろう、食い扶持は稼げないと困る、と考えます。で、じゃあ自分はインターネットにいる人から金をだまし取るちょっとしたスクリプトを書けますよ、と言います。そして、そういうスクリプトを書いてしまいます。こういうところで多くの --

Bob: では、それに対する答えとは何でしょうか? どうやって -- 彼らをマクロ経済的に取り込むような -- あなたはウクライナ人を積極的に雇ったりしていますか?

Max Levchin: いえ、していません。なぜかというと -- 残念なことに、アメリカの入国管理と、正確な用語を知らないのですが、労働許可法のおかげで、本当に頭がよくて、本当に入国したいと思っている人を連れてくるのが非常に難しいんです。H1Bビザを手に入れるのはその一環ですが、これはかなり大変です。ご存じでしょうけどいろんな国家安全保障のどうのこうのがありますからね。

Bob: ええ。

Max Levchin: ただその一部は --

Bob: 雇うにしても、ここまで連れてくる必要はありませんよね。

Max Levchin: 私はあまりアウトソーシングには力を入れていません。アウトソーシングというのはちょっと -- 私には怖いんです。ちょっとやり方が古いんでしょうね。この波からは良くも悪くも距離を置くようにしています。

Bob: はい。

Max Levchin: それは単に、エンジニアとして、自分が一緒に徹夜をすることができないのに、他のエンジニアを管理していく方法なんて思いつけません、ということです。

Bob: わかりました。

Max Levchin: 私がボスとしてマネジメントをするにあたって結構うまくいっている「諸君、君たちには私がついているぞ」的なアプローチを紹介すると、男たちが何をやろうとしているのか、知っておかないといけない、ということです。知らずにはいられないんです -- 女性も同じですけどね。

Bob: その話からすると、管理できる社員の数には絶対的な上限があって、それに応じて運用できる会社の規模も決まるように思いますが。

Max Levchin: いや。いや、末端の一人に至るまで私に直接報告させようと考えるほど正気を失ってはいませんよ。中間管理層や、とんでもない話ですが、さらにその中間管理層が必要な規模まで会社を拡大するのは全く問題ありません。ただ、私が自分のキュービクルから出たら、社員がみんなここにいて徹夜で作業をしている様子とか、ここに誰もいなくて雰囲気も悪くて、キュービクルもほこりを被っている様子を見れば、今会社がどうなっているか、この会社はうまくいっているのか、それとも終わってるのか、即座にわかります。

東ヨーロッパの優秀なエンジニアを遠く離れた事務所に抱えて、彼らに一度も会うことなくこういうことをするのは非常に難しいと思うんです。しょっちゅうそこに顔を出してなんとなく様子を見るだけでも、この「やばいボスが来る」という体験を作り出すことはできるでしょう。それでも決して -- 少なくとも、長期的に見てこんなやり方がうまくいくとは思えません。

Bob: さて、何人 --

男性: あと8分です。

Bob: はい。今ここでは何人が働いていますか?

Max Levchin: ここには22人くらいいると思います。

Bob: 女性の人数は?

Max Levchin: 1、2、3、4、5.5人ですね。

Bob: 25%くらいですね。少し少ないくらい。--

Max Levchin: ですね。

Bob: 20から25%が女性と。

Max Levchin: ええ。

Bob: これは多い方ですか、少ない方ですか?

Max Levchin: 立ち上がり中の会社としては、多分平均かそれよりも多い方ですね。自分の経験から言うとそう見えます。

Bob: では、意識的に女性を多く採用しようとはしましたか? このインタビューを見て、20%が女性か、少ないな、と思う人の方が多いと思いますよ。

Max Levchin: していないですね -- 良くも悪くも、私は完全実力主義の店を経営していると自分では思っています。この仕事ができるほど頭がいいなら、片腕の猫でもいいんです。心臓が1回打つ間に採用しますよ。特にあなたが、その仕事にとってもっとも有能な人であれば、男だろうが女だろうが猫だろうが何だろうが、それは何の足しにもなりません。

会社を始めたときに全く女性社員がいないと、妙な社内力学が働くような気がします。会社がある点まで成長すると、ある意味よくある問題で、女性は年を取った男だらけの職場参加するのに抵抗を感じるんです。これは問題です。これは理解できるし折り合うこともできますから、私はそれに気をつけないといけません。

これは、こういう公的な政治的公平さなるもののために、数は少ないですが私が考慮していることの一つです。結局は誰が一番適している人物かを見極めるということに行き着きます。昨日ある女性と面接をしました。彼女はとても優秀に見えました。彼女は先の読める人で、数学と計量経済学の経歴があります。彼女を雇えば、私は政治的公平の義務を満たしたことになるでしょう。わかりませんが。

Bob: そうなるんですか? 満たしてませんよ?

Max Levchin: これで足りると思いますが --

Bob: 女性の比率は50%ではありませんよね。

Max Levchin: そんなにいるんですか?

Bob: わかりませんが。

Max Levchin: 15人になるまでは --

Bob: はい

Max Levchin: 心配しなくてもいいはずです。

Bob: はい。

Max Levchin: で、私は心配していません。

Bob: わかりました。

Max Levchin: まあ、実際はわかりませんけどね。

Bob: さて。あなたの未来について少しお話をしたいのですが。あなたが立ち上げている会社は2年か、3年か、4年後にはPayPalに匹敵する大きさに育つかもしれません。成長するには時間がかかります。

Max Levchin: 口からなんとか --

Bob: なんとか、ですね。

Max Levchin: です。

Bob: ええ、神の耳に(*your mouth to God's ear>訳不詳)、でしたっけ? それだ。こういう会社が -- ご自分の望みについて好きに語ってください。どんな言葉が出てくるか聞いてみたいんですが -- こういう会社が伸びる世界というのは、どんな世界でしょうか? 今日の私たちが生きる世界とは、どういう違いがあるでしょうか?

Max Levchin: その文脈だと、私がいま関わっている会社は、インキュベーターのようなものですが、名前をSlideといいます。これは未来の一部になるようないくつかの物事の共通部分に生き続けていくと思います。いま未来において明白なのは、ネットワーク帯域の値段は下がり続けるということです。非常に近いうちに、帯域のことはあまり考えずに済むようになると思います。

過去には、自分がオンラインかそうでないかを気にする必要がありました。ダイアルアップするわけです。今はたいていの人が、ほとんどの時間オンラインです。Wi-FiやWiMaxや、その手のスタンダードがもっともっと普及すれば、さらに多くの人がオンラインになります。そうしたら、それは -- それはとても大きな、重要な変化だと思いますし、とても良いことです。帯域がもはや問題にならないとしたら、様々なものを人々に届けられるようになります。それに対して、帯域の価格は、明らかに大きな制約要因になっています。

もう一つ大きいのは、パソコンが今日とは非常に異なった形でエンターテインメントの発信元になるということです。人々を延々と楽しませるように作られたwebサイトは、その片鱗をすでにあちこちで見ることができますが、そのようなプロダクトはまだあまり出てきていません。たとえばテレビとは大きく違ったものになるでしょうね。普通の人が、30分の番組を鼻先から20センチ先のモニターで見つめ続けると期待するのは無理があります。なので、これからは形態の異なるエンターテインメントが現れて、いろいろなことが起こると思います。

もう一つ起こると考えている面白い変化は、非常に創造的な広告の形態が現れるのではないか、ということです。今もインターネットが合法的な広告媒体になりつつあって、もうそうなって何年も経ちます。ゲームや番組に埋め込まれた広告というのは、テレビの世界では集計やその働きに限界がありますが、インターネットでは非常に大きな存在になります。たとえば何かゲームをやっているとして、ああ、あれ -- あのアバターの着ているTシャツ最高にカッコイイじゃん、と言うと、ゲームが中断して、アバターがTシャツを脱いでこっちにくれるんです。かわりに自分のPayPalアカウントから10ドル差し引かれる。とか、そういう突飛なことが起きるんです。

この分野では実に面白いアイディアがたくさん出てくると思いますよ。

Bob: では将来において、勝ち組とはすばらしいアイディアを持っていて、それを正しく実行できる会社だということですね?

Max Levchin: ええ。

Bob: では負け組は誰ですか?

Max Levchin: それは --

Bob: アイディアもないし実行もしない。

立ち上がりのロケットに乗るには - The Juicy Bit

Max Levchin: そうですね。実のところ、事業の立ち上げが成功するための条件は5%のいいアイディアと、95%の実行力だと思っています。これは本当に -- 競争相手に書くのに3ヶ月かかる機能を、こっちは2週間ごとにリリースすれば、彼らに神の恐怖をぶつけられるわけですよ。先週私たちがリリースした機能を彼らが真似し終わる頃には、私たちは彼らよりも3ヶ月進んでいる。これはもう全部実行力の問題ですよ。

というか、一度自分が -- ユーザーが、十分な数のユーザーなり顧客なりが、あるいは有料顧客かもしれない、その人たちが何をやってほしいか自分に言ってくる。彼らが「こういうものが欲しいんだ」と自分に言ってくる。一度自分がそういう流れに乗ったとしましょう。もしそれを受け止めて機能を作れるなら、もうロケットにくくりつけられたようなものです。それでとにかく -- それが早くできれば、もう誰も追いつけない。もしできなければ、もしユーザーが持ってきてくれているエネルギーを受け止めきれないなら、自分のアイディアがどんなにすごいものであっても関係ない。もうどうすることもできないんです。だから勝ち組ってのはそういうことだと思います。負け組というのは実行する方法を考えつけない人たちのことです。

Bob: というところで、話が最初に戻りましたね。つまり勝ち組というのは --

Max Levchin: 徹夜好きを_____(*原文記述なし)

Bob: 徹夜好きを一番うまく使いこなせるのが勝ち組ということですね。

Max Levchin: その通り。だから勝ち組なんです。

Bob: よかった。


補足情報


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 知らない間にずいぶん翻訳が進んでいたのですね。 -- はは? 2005-10-03 (月) 21:40:30
  • 最低2章までは一人でやろうと思っていたもので。さすがに進みがおそいので、次からはオープンにするつもりです。 -- hir? 2005-10-04 (火) 00:17:51
  • From your mouth to God's earの意味>http://www.answerbag.com/q_view/74418
    「神はすべてを聞いていらっしゃる」というところか -- hir? 2007-01-18 (木) 14:44:02
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Last-modified: 2006-03-12 (日) 15:30:30 (1637d)